***ある歴史の授業中の話
先生の声はBGM。簡単に書かれた世界地図らしきものと、それに関連してるであろういくつかの単語が並ぶ黒板を眺めつつ僕はふと考えていた。
この学園って一体何系なんだろうか。
日本一、たぶん世界一と言っても過言ではないだろうマンモス校。
その生徒の外見はよりどりみどり。髪の色だなんて虹色揃えられるぜ。カラフルだぜ。
服装だってコスプレ紛いからV系不良お嬢様なんでも来い。マニアック系?不良系?総じて不思議系?まぁこの自由な校風を一纏めに何系だの考えるのがおかしいんだろうけど。
…改めて考えてみると変な学校だな。
もし僕が一般人で、ただの学園のご近所さんなら引っ越すことを視野に入れるだろうな。
…いや、でもここ案外治安良い、よな…?コンビニに学生がたむろしてたりするけど…
「…じゃあ、夢野。」
突然BGMにしていた先生の声にはっと意識を戻す。
「ここの答え言ってみろー」
「え?あ、ああ。えっと…ペキン原人?」
「………。お前は一人で何時代を勉強してたんだ。オイルショックだ、覚えとけ。」
興味が無いと右から左に流れるシステム。
***あるバイト中の話
商品の陳列をしていた時店長に声をかけられた。この後の来る新入バイト君へシフト表を渡しておいてほしいという話。
店長はコレから少し用があるからって。っていうか店長髪伸びたなー…。切ると良いのに。伸ばしてるのかな。たぶん彼に長髪は似合わないぞ。
あー…僕もそろそろ切りに行きたいかもしれない。…ああ、でも、金がちょっとな…。どうしよう、自分で切るか。ただアレは失敗したときが怖い。
じゃあ節約?…あ、確か叔母さんが貰い過ぎたキャベツをいくつかくれるって言ってたからそれで何とかいけるかも。それと小さな小遣い稼ぎってことで本も売っておくかな。
他に、節約…ねぇ…?節約番組でも見て勉強するか…
「夢野君?」
「ああ、ハイ。えっと、シフトを渡して、説明入れとけば良いんですよね」
「うん。じゃあ、宜しくね。」
要点だけは聞いていたりする。
***ある勉強中の話
僕の前には歴史のノートと教科書が拡げられている。左側には彼女が座って、真剣に教科書を指さしながら重要らしい単語と、その説明をしていた。
そんな彼女をぼんやり眺めて、瞳の色が綺麗だなとぼんやり思う。
青っていうか水色っぽいのかな?一重に青って言っても色々あるからなぁ…。でも瞳に関しては色素が薄い方が綺麗な気がする。
……。いや、案外深い濃い色っていうのも綺麗なのかも。真っ黒、とか。知り合いにいたかな、目が真っ黒な人。目の色なんて何時もはそんな見てないから覚えてない。こんど見たら観察してみようか。何か発見があるかも…
「愛ちゃん?」
彼女の眼を見ながら考えていたら、いつの間にかその彼女はしかめっ面になっていた。見過ぎたかな、少し失礼なことをした。
「ねぇ、聞いてなかったでしょ!」
「えっと、いや、ビミョーに聞いておりましたよ」
「ビミョーって何よ。じゃあコレ分かる?」
指さしたところを眼で追えば、教科書の巻末問題だった。たぶん分からないから怒られるかなと思い目を通せば意外にも見たことのある問題。
「……あ、コレは、あれだ。オイルショック?」
「何でわかるの」
「だって、先週かな。授業でやりましたよ。」
「愛ちゃんが歴史の授業をちゃんと聴いてるなんて!」
******
総じて答え。
うわの空君は大きい確率で話に関係ないことを考えている。
でも聞くとこちゃんと聞いていたりする便利な耳を持っている。
話の内容が興味のあることだとその話の発展形を考えていたりするので成績が悪いことにはならない便利なうわの空。
PR