台所から、寝室まで徹底的に調査した。
ただし勝手に入ったことがバレてしまうと恐ろしいので寝室だけは慎重に調査する。
ただ忍者な父さんにはきっとバレてしまうこと請け合いだけども。でも父さんはオカアサンの神経をすり減らしてしまうようなことはしないだろうから、オカアサンにはバレないはず。
そんなこんなで探し終えた。
結果的に何も出てこなかった。
確かにアルコールの類はあったけれど一般に家にあるような程度だったし、薬のようなものも出てこなかった。
その時オカアサンが異常なまでに嫌っているのは自分だけだと思い出す。
薬中やアル中だったら他にも影響があっていいはずだったから、その線は無くなってしまったということになる。
行き詰ってしまった。
他の理由を考えて、さっぱり思いつかなくて、何日か云々悩んでいたら父さんが心配したのか声をかけてきた。
諦めて父さんに相談したら、意外と理由を知っていたようで。
教えるのを躊躇っていた父さんを催促して理由を教えてもらった。
申し訳無さそうな、残念そうな、悲しそうな顔をして父さんは教えてくれた。
「母さんは、お前の瞳がどうしようもなく嫌いなんだそうだ。」
理由を知ればどうにかなるかもしれないと希望を持っていたけれど、その理由は絶望に近い感情をもたらしただけに終わった。
オカアサンのことは諦めようと思った。
好かれるためだけに自分の目を抉れるほど僕はマザコンでなかったから。
愛よりも生きるほうが大切だったから。
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